高校・大学入試の配慮についてまとめてみた
受験シーズン真っ只中ということもあり、受験時に、具体的にどのような配慮を行うことができるのかを知らないことで今後どのように動くべきか分からず、不安になっている先生方、保護者の方々のお話を耳にすることがあります。そこで、今回は高校・大学入試時の配慮についての基本事項についてまとめてみました。
はじめに知っておくべきこと
平成28年4月から障害者差別解消法(障害者差別解消法リーフレット - 内閣府)が施行されるため、公立の学校については配慮申請が通りやすくなると思います。ただし、私立学校の場合は合理的配慮は「努力義務」のため、各学校の裁量に依るところが大きいです。
※合理的配慮については、過去記事「通常学級でのiPad活用について2(PDF配布中「インクルーシブ教育と合理的配慮説明資料」)(再掲) - 学習支援.info」に掲載している資料で説明しております。
(2)事前調査の重要性
受験先の高校や大学が配慮を行うことに理解のある学校かどうか(受験時の配慮を行った前例があるかどうか等)、学校に問い合わせる、学校ホームページに配慮に関する記述がないか確認する等の事前調査を行うことが重要です。受験先の学校に前例があるかどうか、理解があるかどうかで許可を得られるまでの時間のかかり具合が変わってくると思います。特に高校の場合、学校によっては配慮を行うことが適切かどうか知るために、受験先の学校が本人との面談や授業見学を行うこともあるようです。
(3)準備は最低でも受験の半年以上前から
とにもかくにも重要なのは初動の時期です。
高校入試でも大学センター試験でも、在籍校でどのような支援を行って、その配慮がいかに必要だったのか証明するために、データの収集を行わなければならないため、少なくとも入試の半年前には配慮申請の準備や受験先の学校へのアプローチを始めなければ間に合わない可能性があります。
受験時の配慮例
受験時の配慮例が紹介されているウェブページ一覧
文部科学省のホームページ(高校入試で希望できる配慮例) ↓
資料2 高等学校の入学試験における発達障害のある生徒への配慮の事例:文部科学省
札幌医科大学のホームページ (センター試験で希望できる配慮例) ↓
http://web.sapmed.ac.jp/jp/school/graduate/medicine/03bqho00000003yk-att/03bqho00000005a1.pdf
※札幌医科大学[大学院 医学研究科]大学院医学研究科(博士課程)学生募集要項の配布について(参照:中央付近にある(参考)受験上の配慮)
日本学生支援機構(JASSO)のホームページ ↓
私の住んでいる地域は都会の様に先進的ではないですが、近隣の高校でも受験時の合理的配慮の交渉が上手くいったという話を聞きました。
・時間延長(1.3倍のところが多いみたいです)
・別室受験
大学受験に関しては、センター試験は全国で統一されているため、比較的要望が通りやすい様です。読み上げ支援のほか、代筆(肢体不自由者の)も実施されています。
その他、最近では
・ワープロを使った入試
・タブレットを使った筆談(面接時)
など、ICTを活用した入試も実施され始めているようです。
詳細については、コチラ ↓ の記事に記載しました
高校入試の場合(必要なこと、必要な書類)
・医師の診断書
・個別の教育支援計画(各自治体の様式に沿って作成)
⇒支援の必要性を証明するために、校内試験でどのような支援を行っていたか記述・受験先の学校との事前協議(校長間による)
⇒認められる配慮の範囲について意見のすりあわせを行う⇒管理職間までとはいかなくても、入試の半年前には受験先の学校へアプローチを行う必要があると思われる
以上が揃い次第、県の教育委員会に許可をとる必要があります。
※2月15日追記
高校受験の配慮申請までの一般的な流れについては、あまり資料化されていないように感じたため、別途PDFで作成してみました。
本ブログで紹介している内容とさほど変わりませんが、ご参考までにどうぞ ↓
PDFのダウンロード方法についてはコチラ→当サイトにおけるPDFファイルの取り扱いについて - iPadと学習支援に記載しております。
大学センター試験の場合(提出書類、日程)
・コチラ↓に提出書類の様式と日程一覧が載っています
⇒基本的には様式にのっとった医師の診断書と状況報告書が必要な様です。
⇒8月~9月に申請を行い、12月中旬までに決定通知書の送付が行われるというのが基本的な流れです。
詳しい日程表はコチラに記載されています ↓
http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00005266.pdf&n=28_hairyoannai_0100.pdf
他、参考になりそうなサイト
日本学生支援機構のホームページ ↓
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/sougou/koho/compass/rashinban-2248w.pdf
※羅針盤バックナンバー(参照: 平成22年度48号)
大学の二次試験の場合
センター試験で認められる配慮については認める大学が多いようです(絶対ではありません)。こちらも前述した(1)公立と私立の違いがあり、私立大学の場合は受験先の大学の裁量に依るところがあります。基本的には、大学のホームページの「受験生の方へ」等のページに、受験時の配慮申請の問い合わせ用窓口(メールや電話)があると思いますので、そこから相談されると良いと思います。
留意事項
今後法律の施行に伴い、配慮申請の方式も変わっていく可能性があります。また、地域差がありますので、今回示した方法が確実とは言い切れません。あくまでもご参考程度に、在籍校の窓口(コーディネーターや担当教諭等)にご確認頂くことをオススメします。